20210117 山岳指導員研修会(積雪期) 兼山岳技術研修会

日時:2021年1月17日(日) 8:00〜16:00
天候:曇り時々雨・雪
場所:マキノ高原スキー場周辺(滋賀県高島市)
参加者:K林、M戸(報告者)

主管:滋賀県山岳連盟 指導委員会
目的:滋賀県山岳連盟 山岳指導員の育成及び会員の登山技術習得
研修内容:冬期山岳に於ける自己防御の習得
・読図、雪山の登山技術
・アバランチ(雪崩)対策、ビーコン操作等
・自然からのリスク管理/防御技術
・アイゼン歩行、ロープワーク等

http://shigagakuren.livedoor.blog/archives/7538466.html

研修の模様:
毎年恒例の滋賀岳連の研修会に、八日市山の会からK林とM戸が参加したので報告する。当研修会には我々以外にも滋賀県山岳連盟の他山岳会からの参加もあり、講師を含め総勢14名が参加した。
尚、当初は堂満岳で開催予定だったが積雪が少ないとの事でマキノ高原スキー場に場所変更しての開催となった。

まず受付し、共同装備を分担して受取ったのち、研修会の開校式場所へ向かう。

スキー場は40〜50cm程の積雪。
子ども達が遊んでいる中、中腹部の開校式場所へ

開校式の後、読図練習開始。全員で地図とコンパスの使い方を確認。講師から提示を受けた構成で2人1組にパーティを組み、以降は各パーティーに分かれ、読図技術を駆使してスキー場上部の研修会場へ向かう。

K林とM戸がパーティを組み先頭で進む。
後続パーティをパチリ

 研修会場所に至る途中にあるスキー場の旧レストハウス前で、アイゼン・ワカン/スノーシュー等の滑り止めを装着。ピッケル等の登攀具も装備し、研修会場まで雪上歩行訓練。

滑り止め装着。M戸はアイゼン&ワカンを装着。
主任講師より以降の行動について説明

K林とM戸のパーティは
研修会場へ先に到着して皆を待つ。

研修会場に全パーティが到着し再度読図。
地図とコンパス、高度計や周辺地形等を
読み取って現在位置を確認

研修会場で、まずはアバランチ(雪崩)対策についての研修。雪崩れのリスクやアバランチギヤの基本、捜索の方法について、実際の雪崩れ事故の状況や最新技術動向も織り交ぜつつレクチャーを受け、埋めた雪崩ビーコンを捜索する訓練実施。

雪に埋めたアバランチ(雪崩)ビーコンを
捜索している様子。
最新のマムート製のデジタルビーコンが
使いやすくて捜索が早い。

次は積雪の弱層評価ということで、ピットを掘り、コンプレッションテストと積雪の断面観察を実施。2種類のピットでの評価方法のレクチャーを受け、各自断面観察や触手により、積雪を構成する層構造や各層の雪質・硬度をチェックした。弱層評価の回数を重ねる程、評価スキルは向上するとのこと。

円柱のピット作成中

四角柱のピット作成中

四角柱へのコンプレッションテスト後
断面観察実施。 

次は雪上での確保技術。雪上にスノーバー、複数の枝、土のうを用いた3種類の支点を作成し強度チェックした上で、流動分散によるアンカー構築を行った。遭難救助の引き上げ搬送する際には特に必要な技術となる。

支点の強度テスト。3種類とも4人で思いっきり
引っ張って動かない事で
300kg以上は耐力がある信頼のおける支点
であることを確認。

3点の支点からクライミングロープで
流動分散のアンカーを構築

雪上での確保技術の続き。スタカットによるクライミングで、スタンディングアックスビレイの訓練。講師からレクチャーのあと、各パーティーで練習。アンカー構築しなくても雪上で素早く安全にビレイできる方法なので、雪上へ登山するパーティ全員が習得して置く方が良い。

講師からレクチャー中
スリングを山足で踏むのがポイント
滑落者を停止させるにはダイナミックビレイ

 雪上での確保技術の続き。コンティニュアスによるクライミング(サイマルクライミング)で、ランニングビレイを取ったところの実演。その後、先行者が隠れシュルンド(クレパス)等へ落ちた場合などで滑落した際に、後の確保者が止める訓練について、まずレクチャーを受けた後、パーティー毎に訓練実施。

コンティニュアスでのランニングビレイ実演

滑落をヒップソリで再現し、後の確保者が止める訓練

最後は搬送訓練ということで、ブルーシートと長い枝を使った簡易担架を作成し、交代しながら要救助者を途中まで降ろす訓練実施。重くて歩きにくくて大変だった。交代しながらじゃないとかなりシンドイ作業。救助作業は大変な作業という事を改めて実感。遭難しないようリスク管理含めてスキルを上げてきいたいと思う。

簡易担架搬送。
ブルーシートの代わりに
ツェルトでも担架を構築できる。

下山し、閉校式を行い研修会は終了。研修会当日は、曇り時々雨のち雪、みぞれ、晴れ等めまぐるしい天気であった。

下山して研修会会場をパチリ

所感:
今回の研修会は、新型コロナの影響で、講師の方が最後まで実施すべきか悩む状況だったとのことで開催が危ぶまれましたが、結果的に開催となって本当に良かったと思います。この研修では冬期山岳における基本的な技術を一連学ぶことができてとても有意義でした。冬シーズンを終えると期間が空いて忘れる事が多いので、思い出す事と、よりスキルが上げられるよう毎年受講したいと思います。

唯一残念だったのが、自身で装着したアイゼン&ワカンのベルトが歩行中にアイゼンの爪の擦れで切れてしまったことです。(^_^;
次の山行までに修理しなきゃ〜(笑)

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