20211120 会山行 雪彦山地蔵岳東稜 マルチピッチクライミング

日時:2021年11月20日(土)
参加者:H藤、K林、M戸、N澤、S伯、K合、W、K保(記)
行程:4:00~5:00滋賀発 → 7:00雪彦山駐車場 → 7:15 駐車場発 → 8:00岩場着 → 12:30クライミング終了 → 14:30登山口
天候:晴のち曇り、微風

今回の会山行のテーマはマルチピッチクライミング。滋賀からアプローチ良く、幅広いレベルの参加者を受け入れられる岩場として雪彦山を選んだ。当初は経験者のみが参加表明していたためフォールも前提のルートを選択しようと考えていたが、直前になって(御在所以外)初心者の多数の参加表明があったため初心者の経験をメインの目的とし、ルートは以前に下部を誤って登攀経験し、また初心者向けで情報も多くスッキリとした印象のある地蔵岳東稜とした。このルートは最終ピッチがそのまま頂上に抜けられることも達成感を感じられて良いだろう。ペアは経験者と初心者で組むようにH藤ーK合、K林ーN澤、M戸ーW、K保ーS伯とした。H藤ーK合ペア以外はノーマルルート、H藤ーK合ペアはペアともにクライミングスキルが高いため滑り台ルートを行った。

雪彦山は日本三大彦山の一つとのことで、そのタイトルから想像される通りの険しい岩峰が一見して見られる山郡である。山群といっているのは雪彦山は特定の山塊を指すものではなく周辺の峰を総称したものだからである。文献によってその範囲が異なるようなので注意する必要がある。この地域でのロッククライミングの歴史は古く、第一次RCCが芦屋ロックガーデンのスケールと岩の脆さが物足りなくなったことがきっかけで開拓され、最も険しく見える不行岳(ゆかずだけ)は大正末期に初登頂されたとのこと。その後も開拓が続くとともにトレーニングの場として栄え、80年代、2000年代のフリー化の流れで現在のようにボルト類が整備されてきたようだ。

少なくともH藤さんと僕は地蔵岳の取り付き方面に向かうのは今回で3回目である。過去2回は迷ったが今回は方向も間違えることなく時間のロスはなかった。ルートがベストでなかったという説があるが、本来は取り付きを探すのもアルパインクライミングにおける核心の一つであり初心者に多少はそのテイストを味わってもらいたいとのH藤、K保の心遣いである。取り付きにつくと、先行は2パーティほどで思ったより少なく、酷い渋滞はなさそうであった。その後も先行のペースもよく快適なクライミングが楽しめた。

地蔵岳東稜ノーマルルートはp1、p2がスラブ、p3が簡単なトラバース、p4がチムニー~スラブ、p5が馬の背と呼ばれる階段状、p6がガバ主体のフェイスで、グレードはいずれもⅢ~Ⅳ級+程度である。すべり台やジュードルなどのバリエーションにも各ピッチから容易にアプローチ、また逆にエスケイプでき、初心者の練習の場としても非常に適していると感じた。(途中確保なしで通過したブッシュ等があるためピッチNo.はあくまで参考で。例えばp5馬の背は同時登攀の人も多いようです。)少しでも難しそうなところにはハンガーボルトが打ってあり非常に安心して登ることができた。また、初心者の皆さんもしっかり練習を積んできただけあって、ロープワーク等で滞ることなく登っていたのに感心した。むしろ僕が途中でATCを回収するのを忘れて登ってしまって大いに反省である。またセカンドビレイ中あまりに暇すぎてトランシーバーでジョークを飛ばすのに夢中になってロープを引き忘れていたのも大いに反省しなくてはなるまい。ペアのS伯さんの返答・ツッコミがピッチ進むに従って雑になっていたことも付け加えておく。なお、S伯さんはピッチが進むに連れてこの日のクライミングに終わりが近づいていることを悲しんでいた。その気持もわかるが、自分で計画して登るようになれば計画にマージンを取りたくなる気持ちもわかるようになるだろう。この日は昼にかけて曇っていったのが残念であったが常緑樹の緑も含めて色とりどり入り混じった紅葉もすばらしかった。

S伯悲しみの最終ピッチを終了して、山頂に抜け出たときの危険地帯から安全地帯への脱出感は想像していたとおり非常に心地よいものであった。今回は壁から離れたところから写真を取りたいと思い自撮り棒を用意していた。何枚か撮って僕は満足した。しかしS伯さんのカメラマン魂に火がついたようでSキングに進化した。こうなると、すみません、、、といいつつ決して譲らない女に変貌する。なんといい画角で写真を取るためにローワーダウンしろと、、、都合30分くらい確保させられてやっと解放された。今年は意味不明にSキングにこき使われることが多かった気がする。

ひとしきり談笑、休憩、写真撮影などを終えて帰路につく。雪彦山は一般道も難路で有名で滑落も多いとのこと。登山慣れしていないものもいるので慎重に降りる。実際には想像していたほど劣悪ではなくSキングが数回滑った以外は特に危険なことはなかった。下山後は全く秘められた感じのない秘湯雪彦温泉で汗を流した。元々はこの地域そのものが秘境だったのだろうが、中国道のおかげで秘境ではなくなったのだろう。

今回、怪我などもなく無事に会山行を終えることができてよかった。僕が初めてマルチピッチに行ったときは怖くて仕方なかったが(今もそうだが)、今回参加の初心者の皆さんは練習の成果もあってか特にそういう素振りもなく楽しめたようだ。むしろ物足りなさを感じているようで、今後のトレーニングのモチベーションにしてほしいと思う。

以上

雪彦山群

取り付き〜p1

p2終了点とすべり台

すべり台と紅葉

馬の背と頂上直下フェイス

頂上直下フェイス

Sキングカメラマン

頂上で記念撮影(photo by Sキング)

秘湯

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